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 1. カルノシンとアンセリンの特徴と分析法

(1)カルノシンとアンセリンの構造と特徴
  カルノシンは、β-アラニンとL-ヒスチジンがペプチド結合したジペプチドであり、その分子量は226.24である(図1)1900年に、GulewitschAmiradzibiによって、肉のエキスから発見され、carnosineと命名された。
 アンセリンは、カルノシンのL-ヒスチジン残基にメチル基が結合しているもので、β‐アラニル-1-メチル‐L-ヒスチジンである(図1)。分子量は240.26である。1929年にガチョウ(Anseriformes)の筋肉から発見され、anserine(Ans) と命名された。また、β‐アラニンに3‐メチルL-ヒスチジンが結合したものは、バレニン(別名:オフィジン)である。バレニンは、1962年にヒゲクジラ(Balaenoptera sp.)の筋肉から同定され、balenineと命名された。γ−アミノ酪酸(GABA)とL-ヒスチジンがペプチド結合したホモセリンは脳などの神経組織に存在し、神経伝達物質として働いている。以下、L-ヒスチジンの表記は、すべてヒスチジンとする。
  カルノシンとアンセリンを構成しているヒスチジンのイミダゾール環のpK値は、それぞれ6.837.04である。遊離のヒスチジンイミダゾール環のpK値は、5.97であることから、生体内pHである7.2-7.4では、遊離ヒスチジンよりもカルノシンとアンセリンの緩衝作用がより強い。この性質は、カルノシンやアンセリンの生体内での機能と深く関連している。

(2)カルノシンとアンセリンの分析法
 
カルノシンとアンセリンは、ヒスチジンが構成アミノ酸であることから、塩基性である。従来は、強酸性陽イオン交換樹脂カラムを用いたアミノ酸分析計で生体分析プログラムにより、分析されていた1)。カルノシンとアンセリンの溶出位置は、いずれも、ヒスチジンの後、アルギニンの前であり、両者は分離して溶出される。ただし、この方法は、分析時間が長いこと、分離が十分でないことから、両者を短時間で分離・定量できる方法が求められていた。
 
アミノ酸分析計では、多段積層圧力分散形カラムによる高分離カラム(強酸性陽イオン交換樹脂カラム)を用い、通常のアミノ酸分析用プログラムを改良し、30分間での分析を可能とした。
 
また、逆相カラムやゲルろ過カラムを用いたHPLCで、短時間の分析方法を開発した2−4)。逆相カラムを用いたHPLCでは、9.2分以内に分析ができ、その感度は58.380.1nMであった(図2)。また、回収率もほぼ100%である。渡辺らは、この方法を用いて牛肉中のカルノシンとアンセリンを10分間で定量できることを示した5)(Nextボタンで次頁にリンクします)

図1.カルノシン(上)とアンセリン(下)の構造

図2.逆相カラムを用いたHPLCでのカルノシンとアンセリンの分離
カラム:Hypersil ODS、流速:0.8ml/minH:2.0
 (文献2から引用)

カルノシンとアンセリン

 動物筋肉に多く含まれているカルノシンやアンセリンは、20世紀前半に発見されたジペプチドであるが、その研究は動物組織における分布や代謝に関するものが多かった。近年、これらは、様々な生体調節機能を有することが明らかとなってきた。わが国では、これからの高齢社会に向けて、カルノシンとアンセリンは、ヒトの健康維持に寄与する天然の機能性素材の1つとして非常に注目されている。

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